2018年にシリーズ開始、2020年にSeason2、そして6年の沈黙。
テレ朝木曜ドラマ枠で安定した視聴率を叩き出してきた『未解決の女 警視庁文書捜査官』が、2026年春に帰ってきた。Season3。6年ぶりの復活。普通のドラマなら「今さら?」と思われてもおかしくない空白期間だが、1話を見た瞬間に「あ、帰ってきたな」と思える空気があった。それがこのシリーズの底力だ。
「波瑠がいない」のに成立している理由
Season1・2でバディを組んだ肉体派刑事・矢代朋(波瑠)は異動済み。シリーズの看板の一つだったコンビが消えた。正直、不安しかなかった。ところが新任係長として現れたのが黒島結菜演じる陸奥日名子。29歳のキャリア組エリート、過去の赴任先では”経理の鬼”と恐れられた人物が、ある事情から自ら6係への配属を志願する。
鈴木京香の鳴海理沙は偏屈な文字フェチ刑事。黒島の日名子はピュアで不器用なほど真面目なキャリア。年齢差は親子ほど、キャリアとノンキャリの壁もある。タイプがまるで違う異色バディだが、だからこそ化学反応が起きる余地がある。鈴木自身が「黒島さんは一生懸命で努力を惜しまない女性」「今ではお子さんもいらっしゃるので、以前とはちょっと違う黒島さんに出会える」と語っていた通り、6年の歳月がふたりの関係性に新鮮さをもたらしている。
「文字で事件を解く」という発明は色褪せない
シリーズの核は、科学捜査が主流の現代にあえてアナログな”文字”を武器にするという逆張り。手書きの文字、言葉の選び方、文章の構成——そこから犯人の心理や行動を読み解いていく。このコンセプトが3シーズン目でもまったく飽きないのは、脚本の大森美香の力が大きい。
大森美香は朝ドラ『あさが来た』、大河『青天を衝け』、直近では第125回ドラマアカデミー賞脚本賞を受賞した『僕達はまだその星の校則を知らない』と、いま最も脂の乗った脚本家の一人。文字が絡むミステリーのプロットを3シーズンにわたって作り続けるのは想像以上に困難だが、「見事にクリアしている」と鈴木京香が太鼓判を押すだけのことはある。事件は暗くなりがちなのに、人との繋がりの温かさが前面に出ているのも大森脚本の特徴で、どの世代が見ても楽しめるバランスだ。
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本作はテレ朝木曜21時の地上波放送だが、見逃し配信や一気見をするならABEMAが便利。地上波のリアタイ視聴が難しい人にとって、配信の存在は大きい。
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演出の安定感——『ドクターX』チームの底力
演出を担当するのは田村直己。『ドクターX ~外科医・大門未知子~』シリーズ(2012〜2024年)を手がけたテレ朝のヒットメーカーだ。シリーズを通じて培われたテンポ感——謎が提示され、文字の手がかりが見つかり、パズルのピースが埋まっていく快感は健在。「文字に隠された真実を紐解く演出が知的で大好き」という視聴者の声が示す通り、このシリーズ独自の爽快感はSeason3でも変わらない。
評価——各要素を点数にすると
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 脚本 | ★★★★★ | 大森美香の安定感。3シーズン目でもネタ切れ感なし |
| キャスト | ★★★★☆ | 鈴木京香は鉄板。黒島結菜の新バディは可能性大だがまだ化学反応の途中 |
| 演出 | ★★★★☆ | シリーズの文法を熟知した安定感。ただし6年前と比べて大きな進化は感じない |
| 新鮮さ | ★★★☆☆ | 良くも悪くも「いつもの未解決の女」。革新を求める人には物足りない |
| 入りやすさ | ★★★★☆ | Season1未視聴でも楽しめる設計。新バディのおかげでリセット感がある |
総合すると「安心して見られる高品質なミステリー」。裏を返せば「想定の範囲内」でもある。ただ、木曜21時にこれだけ安定したクオリティのドラマを届けてくれるシリーズは貴重だ。
鈴木京香×黒島結菜の化学反応は、まだ始まったばかり
Season3はまだ序盤。新バディの本当のケミストリーが発揮されるのはこれからだ。鈴木京香が「年下の女性たちの頑張りを見て、年上のお姉さんとして喜びを感じる理沙の姿も入れたい」と語り、黒島が「あまり上司らしく振る舞わずバディを組みたい」と言う。この温度差がどう物語に作用するか——その答えが出るのは、まだ少し先の話だ。

